ナショナルスタッフ育成事例|須藤 様(仮名) インドネシア・製造業


ほんの数年前までは規律のない混沌とした状態だったにもかかわらず、今では整理整頓が行き届いたきれいな現場と、自分から挨拶をするスタッフの皆さん。 創業以来最高の業績を更新しつづけている現場があります。

今回は、苦しみながらも自力でナショナルスタッフの意識改革に成功し、会社文化の変革を成し遂げた、須藤様(仮名)にお話をうかがいました。

須藤様

Managing Director 須藤 様(仮名)

今回匿名を希望された同社は、自動車・バイク部品メーカーの現地法人として、創業23年(執筆時点)を超える製造拠点です。 今回、ジャカルタから車で2時間ほどの、工業団地にある同社を訪れ、企業文化の変革に成功した須藤社長(仮名)にお話をうかがいました。

須藤様は2020年にインドネシアへ赴任。当初はインドネシア人従業員と日本人との間に壁があり、苦労をされたそうです。
従業員の規律やマインド、現場の5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)に問題を感じた須藤様は、改革に取り組みました。

改革の結果、従業員の規律向上、遅刻や欠勤の改善、5Sの定着、生産性向上を果たし、1年後の2021年には過去最高を更新する生産量を記録。 ナショナルスタッフとの一体感が生まれ、社長の誕生日には、パトロールに行った先々の部署でサプライズのケーキが出てきたといいます。

弊社WS PARTNERSが取材にうかがった際も、新規ラインを増設したにもかかわらず構内は広々としており、整理整頓が行き届いていました。 数年前まで、不用品が散乱して通路が埋まっていたとは信じられない光景です。
このたびは、どうやって現場を改革したのか、須藤社長にお話をうかがいました。


(文責・インタビュアー: WS PARTNERS シニアコンサルタント 西尾健史、 WS PARTNERS コンサルタント 磯野令奈)


西尾: はじめに、御社についての簡単な紹介をお願いします。

須藤様(以下敬称略):
弊社では、エンジン部品を製造し、今年で23年目になります。
従業員は450名ほどで、赴任した2020年と比べて増えています。
自分は来年で入社25年になります。日本では、最初の10年は生産技術、そこから製造部の改善グループや監督職を経験して生産技術に戻りました。



現場の改善ではなく、人をかえてきた。


須藤様
西尾: 須藤さんはご赴任した当初、非常に大きな課題を感じていた。どういう状態でしたか?

須藤: 来た直後は、モノづくりをする環境ではないと感じました。
まず外を回ってみたら、ガラクタがいっぱいおいてある。

工場の中もいろんなところにおいて会って、何年も使っていないものもあった。 捨てなさいといっても、いつか使う・急な受注に対応するためにおいてあると言われてしまった。
言うだけではだめで、時間かけてでも根本を変えていかなければいけないと思いました。

須藤: そこで、全員集めてビジョンを話し、まずは5Sの指導から始めました。
インドネシアでは、清掃するのは清掃員であり、自分ではない、という考えです。
5Sの効果を教えるために、ミーゴレンを作るときの冷蔵庫の中身(欲しい材料がない・期限が切れている)に例えた資料を作って、わかりやすいように工夫し、何回かに分けて一つずつ教えました。

西尾: 自身で資料も作って指導したのですか。それから須藤さんは毎日パトロールして、できていたら誉めたり、できていなければ指摘をしたそうですね。

須藤: はい。不用品を出せと言っても最初は出てこなかったので、自ら「これいる?」と聞いて回りました。
それだけでなく、見本としてモデルラインも作りましたし、5Sの担当部署も作りました。

管理者には「自分の家族に、その仕事をさせたいか?」と問うてきました。
さらに、空いたエリアで休憩所を作っていいよ、ということにしたら、スイッチが入りましたね。

それでも3~4か月でペースダウンしてきた。
そこで、インドネシア人は家族を大切にすると聞いていたので、家族に工場見学をさせる日を設けました。

西尾: ものすごい盛り上がったそうですね。

須藤: 予算をあげたら、Familyフェスティバルという名目に変わり、装飾もしてくれました。盛り上がってきれいになり、350名従業員に対して、1400名の家族が来ました。



自分は”風土”を作っている


西尾: あいさつの定着や、社員へバースデーカードを送るお話も大変驚きました。

須藤: バースデーカードは、2021年の1月からはじめています。
最初に赴任したときに宣言したのは、「この工場の従業員を第2の家族だと思っている」と。 そして、自分の家族だったら、なにをするか?を考えてはじめたんです。

西尾: 相手はさぞかし喜ぶでしょうね。

須藤: はい。でも、本当にこれを続けるのは大変です。

また、信頼関係で大切なのは挨拶。1人1人に立ち止まって、目をみて、「仲間だよ」という意味をこめて挨拶をしています。
そうしたら、いつからか従業員同士も挨拶をするようになりました。


5Sで生まれたスペースに作った休憩所。創意工夫が現れている。

西尾: 須藤さんが去っても、その風土を引き継げる人材は育っているのでしょうか?

須藤: 自分の仕事は風土を作ることです。
その風土はできてきているので、次の社長にこうしてくださいと言わなくても、できるようになっている状態がある。
自分がやっていることを引き継がせるという意味では、総務のマネジャーにはよく伝えている。 5Sの部署や表彰式など、仕組みも作りました。

西尾: 御社が今後目指したいのは、どのような姿ですか?

須藤: 人が変わっても、根付くようにしていきたい。やらせるのは簡単だけど、根付かせる。
皆に言っているのは、自分はいつかは帰るけど、いつかは戻ってくるから会社を守り続けてくれ、と。



こちらも休憩所。従業員たちのクリエイティブな面が出ている。


日本にいたころは、何か成果でたら何かをしてもらうという考え方だった


須藤: こちらに来て気づいたのは、日本にいたころの自身は、何か成果がでたら何かをしてもらう、という考え方でした。
しかしこちらでは、先に行動を起こせば、結果がくる。例えば、家族祭りも、費用対効果はわからないままやったら、生産性が上がった。 ”生産性が上がったら、家族祭りしていいよ”、ではないんです。

西尾: 本日は素晴らしいお話、本当にありがとうございました。



<おわりに>
今回、本当はもっと盛りだくさんのお話をいただきました。
皆様が我々インタビュアーに対して、「もっとこういうことを聞いてほしい」と感じる部分も、あったかと思いますが、工場内の設備や具体的な数字などの企業機密や、時間や誌面の都合で、内容を絞らせていただきました。
また、せっかく整理整頓された工場内や、製造ラインも、掲載は控えさせていただきました。

インドネシアでの駐在の皆様を支援している我々も、大いに参考にさせていただきました。
あたらめて御礼を申し上げるとともに、須藤様(仮名)および同社の益々の発展を祈って、インタビューを終わります。

(文責・インタビュアー: WS PARTNERS シニアコンサルタント 西尾健史、 WS PARTNERS コンサルタント 磯野令奈)

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